収蔵作品展Ⅱ 「田中隆夫展」地味なものたちへのまなざし

場所:市立岡谷美術考古館   開催期間:2023-03-09〜2023-06-04  お問い合わせ:0266-22-5854

画家 田中隆夫(1923~1980)は現伊那市に生まれ、鉄道員として勤務するかたわら、絵画制作を続けました。
1937年、最初の職場となる国鉄岡谷駅の駅員となり、岡谷に居を構え、髙橋貞一郎や矢﨑牧廣に師事、春陽会研究会に入会しました。その後は主に春陽会に出品を続け、春陽会志村一男や野村千春にも指導を受けます。
岡谷では、絵の仲間である織田昇、酒井保明、今井章雄らとモナミ会を結成し、ともに研鑽を深めます。職場においては、全国国鉄美術連盟の発足に参加、さらに柳沢毅一らと長鉄美術連盟を創立しました。
また、春陽会でも南信支部を結成し、逝去するまで主任を務め、後進の育成と地域の美術文化の発展にも寄与しました。1974年には春陽会準会員となりましたが、6年後に逝去し、同会会員に推挙されました。
田中は生涯を通じて、さまざまな師の作品を熱心に研究し、自らの画風を模索し続けました。また常に、国鉄で働く労働者や、農民、荷運びの馬、野の花、雪の中に枯れ残るひまわりなど、ぎりぎりの条件の中に生きているような地味なものをモチーフに選びました。どの作品にも、努力家で明るく優しい田中の人柄がにじみ出て、見る者を勇気づけてくれるような味わいがあります。
本展では、田中の生誕100年を記念し、画業の初期から晩年までの収蔵作品をご紹介します。