島 州一 タブローへ向けた精神

場所:小海町高原美術館   開催期間:2026-04-04〜2026-05-31

島 州一(しま・くにいち)【1935 – 2018】は、東京都に生まれ育ち、1959年に多摩美術大学絵画科を卒業します。69年から当時隆盛を極めたハプニングをなぞる前衛的な活動を、70~80年代には刷る行為(版画・印刷)による現実構造の改変、“トレース”の描画法を用いた実験的な表現を繰り返し、高く評価されてきました。
その後、島は浅間山麓のパノラマ風景を気に入り、1993年に長野県小諸市に移住、翌年からは東御市にアトリエを構え、終の住処とします。信州の地に住み、四半世紀をタブロー(絵画)表現と向き合い続けた中で「言語の誕生」、「添景」、「Landscape」、「造形言語の地質学」をはじめとした、いくつものタブローシリーズや独自の絵画論が生み出されました。
「半世紀余りの画歴の中で、私の意識の中心にタブローを描きたいという最終目標が常に在りました。」と作家自身が述べたように、島は絵画という物質と作家の身体性、完成へと向かう作品の精神、それぞれを交感する情報を常に意識しづけました。それは自分自身を見詰め続ける“眼”を持つことにあるとした、「私の中の私」という意識でもありました。島は自らの精神を、自身を取り巻く日常の環境を“なぞる(トレースする)”ことによって色彩や造形を操り、絵画化(情報化)させてきたといえます。
本展では、タブロー表現と独自のトレース技法を融合させ、晩年のライフワークとなった「Tracing-Shirt」シリーズへと向かうまでのタブロー実験の軌跡を辿る絵画展となります。