夏季特別展 「生誕100年ドナルド・キーン展―軽井沢と日本語の美―」 Donald Keene 100th Anniversary Exhibition Karuizawa and the beauty of the Japanese language

場所:軽井沢高原文庫   開催期間:2022-07-16〜2022-10-10  お問い合わせ:E-mail:kogenbunko@yahoo.co.jp TEL:0267-45-1175 FAX:0267-45-6626

 日本の古典から現代文学まで通じ、世界に日本の文化と文学を広めた日本文学研究者、ドナルド・キーン(1922~2019) は1922年、米ニューヨーク州に生まれました。コロンビア大在学中の18歳の時、ニューヨーク・タイムズスクエアの書店でアーサー・ウエーリ訳『源氏物語』2冊本に出会います。ドナルド・キーンの日本文学への遥かな旅路はここから始まりました。日米開戦に伴い1942年、米海軍日本語学校に入学。情報将校としてハワイや沖縄に従軍し、日本兵の日記読解や捕虜の通訳をしました。
 戦後、ハーバード大、ケンブリッジ大で日本文学の研究を続け、1953年から2年間、念願の日本留学(京都大)を果たします。京都での下宿先では終生の友・永井道雄に出会いました。この時期、狂言を習い、嶋中鵬二を通じて三島由紀夫を知り、また谷崎潤一郎や川端康成らの知遇を得ました。英訳『日本文学選集』を編集し、米国の出版社から刊行、日本文学の海外紹介のきっかけを作りました。
 1960年、コロンビア大教授に就任。日米を往復しながら、近松や芭蕉など古典文学を研究。「おくのほそ道」などの古典から安部公房、三島まで、多くの作品を英訳、海外に紹介しました。古事記に始まり現代までを見渡す『日本文学の歴史』全18巻や日記文学論『百代の過客』等を執筆。晩年の20年余は明治天皇、正岡子規ら転換期の評伝に力を注ぎ、日本人の精神を浮かび上がらせました。
 1971年から、1年の前半をニューヨーク、後半を東京下町の見晴らしのよい簡素なマンションで過ごし、夏は軽井沢で執筆に打ち込みました。2011年の東日本大震災後、日本への永住を決め、日本国籍を取得、日本名キーンドナルドには「鬼怒鳴門」の字をあてました。
 ドナルド・キーンと軽井沢の関わりは、1950年代、永井道雄の招きで軽井沢を訪れたことがきっかけでした。清涼な気候を気に入り、1965年に十坪ほどの山荘を建てました。兼好や芭蕉など中世の文人に自身を重ねながら、山麓の深い緑と静寂の中で、半世紀以上にわたり『徒然草』や三島『サド侯爵夫人』の英訳、『石川啄木』などの執筆を行いました。自ら料理を作り、クラシックやオペラなど音楽を楽しみ、周辺の散策をして花や木を愛でました。「季節の移り変わりや自然の美への表現の豊かさが日本語の本質」と語るドナルド・キーンにとって、自然豊かな軽井沢の環境は「日本語の美」とは何かに思い巡らす最適の場だったと言えるかもしれません。    
 本展は、ドナルド・キーンの生誕100年を機に、夏の仕事場のあったゆかりの地において、主要作品や軽井沢との関わりなどを中心に、ドナルド・キーンの人と仕事を紹介しようとするものです。自筆原稿や書簡、蔵書、愛用品など関係資料約200点を展観いたします。


<画像>
軽井沢山荘で仕事をするドナルド・キーン。2014年8月21日。撮影:キーン誠己。

<関連イベント>
■高原文庫の会
「ドナルド・キーンさんの思い出」
お話:浅田次郎(作家)
日時:9月10日(土)午後2時~
会場:軽井沢高原文庫中庭
料金:2000円(友の会会員を除き別途入館券が必要です) 
定員:80名
(※高原文庫の会参加者へ夏季特別展に合わせて刊行した「高原文庫」第37号を1冊贈呈)

■高原の文学サロン
「トーク&演奏♪――ドナルド・キーンを語る」
出演:角地幸男(翻訳家、文芸評論家)、キーン誠己(ドナルド・キーン子息、浄瑠璃三味線奏者)
日時:8月27日(土)午後2時~
会場:軽井沢高原文庫中庭
料金:一般1500円/学生・友の会会員1000円(友の会会員を除き別途入館券が必要です) 
定員:50名

■文学散歩
「ドナルド・キーン山荘を訪ねる」
日時:9月24日(土)午後1時~
ドナルド・キーンが1965年から半世紀余を過ごした軽井沢山荘を訪ねます。内部見学あり。
集合:中軽井沢駅(*送迎あり) 
料金:2000円、友の会会員1500円 定員:13名 ※予約受付8/1午前9時~

※3つのイベントは要予約:Eメール(e-mail:kogenbunko@yahoo.co.jp)、FAX(0267-45‐6626)でお申し込みください。TEL(0267-45-1175)でも可。

■「女流博物画家 メーリアンの世界展」
7月1日(金)~8月28日(日)
会場:軽井沢高原文庫内 堀辰雄1412番山荘
メーリアン著『スリナム産昆虫変態図譜1726年版』の邦訳初刊行(岡田朝雄・奥本大三郎訳、白石雄治製作総指揮、2022年、鳥影社)を記念して、昆虫標本等も加えた博物学的総合展示を行います。協力:新部公亮。

〈次回企画展〉
「文学のふるさと・軽井沢―朔太郎、犀星、龍之介、辰雄……」
10月14日(金)〜11月30日(水) 会期中無休
萩原朔太郎没後80年にあたり開催される共同企画「朔太郎大全2022」に当館も参加します。


軽井沢高原文庫 
THE LITERARY MUSEUM OF KARUIZAWA
料金:大人(高校生以上)800円、小中学生400円 ※GW期間中は駐車料金500円かかります。
(入館料には堀辰雄1412番山荘、有島武郎別荘「浄月庵」、野上弥生子書斎の見学も含まれています。) 
長野県北佐久郡軽井沢町長倉202-3 TEL0267-45-1175 Fax.0267-45-6626
http://kogenbunko.jp  〒389-0111

□交通:JR北陸新幹線・軽井沢駅、または、しなの鉄道・中軽井沢駅下車、タクシー約8分
上信越自動車道・碓氷軽井沢.I.C.より車で15分。
※会期中、次のバスが運行いたしますのでご利用ください。
〈急行塩沢湖線〉通年「軽井沢駅北口バスターミナル④番」→「塩沢湖」下車(有料420円)
〈町内循環バス(東・南廻り線)〉通年「軽井沢駅北口バスターミナル①番」→「塩沢湖」下車(有料100円)

※展覧会&イベントにつきましては、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、変更になる場合がございます。何卒ご了承ください。