場所:長野県立歴史館 開催期間:2025-01-11〜2025-02-24 お問い合わせ:総合情報課 026ー274ー3991
令和6年(2024年)は、松代出身の儒学者・佐久間象山(1811~1864)没後160年の節目の年にあたります。象山は、中国文化にたいする深い教養を持つ「文人」としても一流で、とりわけその書は生前より高い評価を受けていました。
象山と書との出会い幼少のころに始まります。父・国善は松代藩の側右筆を務め、その後表右筆組頭へ出世しています。幼少期より能筆家であった父から書を習った経験が象山の基盤となったことでしょう。加えて、若くして中国東晋の王羲之を手本に学び、さらに30代後半には唐代の顔真卿の「争座位帖」(拓本)を入手したのを契機に、その作品は顔真卿の強い影響を感じさせる厳格で力強い書風へと変化しました。一方、象山を支えた八田家、関家など地元の有力者など交流のあった人たちに宛てた書簡も数多く残されています。
本展では多方面に活躍した象山の業績のうち、地元に残された書と文人画に加えて、書簡とそこに記された実物資料を合わせて紹介します。これによって、書法を厳格に追究した幕末の文人としての側面と、日常を生きた人間としての象山を身近に感じていただければと思います。
「力士雷電の碑拓本」(当館蔵)