企画展「ジャポニズムの源流 北斎漫画」

場所:北斎館   開催期間:2020-06-20〜2020-08-30  お問い合わせ:北斎館(TEL:026-247-5206)

 ジャポニズムという言葉をみなさんはご存じで すか。ジャポニズムとは19世紀後半ヨーロッパの 国々で巻き起こった日本ブームのことで、今から200年ほど前にオランダやフランスを中心に巻 き起こりましたが、この大きなブームのきっかけ となったのは、北斎が描いた『北斎漫画』だったと いわれています。
 文化9年(1812)ごろ、門人であった名古屋 の牧墨僊宅に逗留していた北斎は、300点余り の人物や動植物、江戸の風俗などの絵を描きまし た。それから2年後の文化11年(1814)、それらをもとにし、名古屋の版元である永楽屋東四郎 から『北斎漫画』を発表しました。もともとは北斎の弟子や職人たちの絵手本として作られました が、その誰をも引き付けるコミカルさやユーモア さから一般庶民から大名まで多くの人々に愛されました。
 当時日本は鎖国の真っただ中にありましたが、唯一西洋の貿易相手だったオランダを通し、陶磁 器などの工芸品をヨーロッパへ輸出していました。その際クッション材として読み古された『北斎漫画』が使われたという逸話が残されています。このようにして陶磁器と一緒に海を渡った『北斎漫画』は、単純な線で描かれたにも関わらず、その完成された表現、独特の世界観を持つとされ現地の人々に衝撃を与えたのでした。
 民俗学の研究がヨーロッパで盛んになりはじめた文政3年(1820)頃、長崎の出島にあったオランダ商館に滞在していた西洋人たちも未知の地である日本についての知識を深めようとしていました。特にドイツ人医師で植物学者でもあったフランツ・フォン・シーボルトは、文政6年(1823)に来日し、日本の文化について探索、研究を 行っています。彼の著書『NIPPON』は、その 探索で得た情報などをまとめたもので、文化3年(1832)頃からヨーロッパに流布したといわれていますが、その中には『北斎漫画』の絵柄をもとにした挿絵が数多く使われています。これらの挿絵はまだ知られていなかった日本文化をヨーロッ パで強く印象付けるきっかけとなったに違いありません。
 その後、日本のエキゾチックなデザインに魅せられた多くの芸術家や商人、職人たちがこぞって日本風の絵や工芸品を手掛けるようになります。まだ見ぬ地へのあこがれが多くの作品を残したのでした。この風潮の源流にあるのも北斎の『北斎漫画』であるといえるでしょう。
 この展覧会ではジャポニズムのきっかけとなった『北斎漫画』の中から様々なジャンルの絵をご紹介すると同時に、『北斎漫画』に影響された画家たちの作品資料もご紹介します。日本とヨーロッパをつないだ『北斎漫画』の世界をどうぞお楽しみください。

会期:令和2年6月20日(土)~8月30日(日)
時間:午前9時~午後5時
場所:北斎館(上高井郡小布施町小布施485)
入館料:大人1,000円 高校生500円 小中学生300円
休館日:会期中無休
備考:新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、マスクの着用や手指消毒など感染症対策にご協力をお願いします。