冬季展 「田中芳男-『虫捕御用(むしとりごよう)』の明治維新」

場所:長野県立歴史館   開催期間:2017-12-16〜2018-02-25  お問い合わせ:長野県立歴史館(TEL:026-274-2000 )

 慶応2年(1866)、幕末の騒然とした世相のなか、虫捕り網を手に江戸近郊の山野を駆けめぐる若者がいました。信州飯田町(現飯田市)生まれの田中芳男です。江戸幕府に出仕し、パリ万国博覧会に出品する日本初の昆虫標本作りに挑んでいました。この任務を「虫捕御用(むしとりごよう)」と呼びます。
 明治維新は、一握りの英雄たちの物語として語られがちです。昆虫や草花、鉱石の採集に打ち込む田中芳男の生き方は、とても地味です。しかし、「虫捕御用」とパリ万博の見聞を原体験に、農産物の改良・普及、各種の産業の育成、教育活動に精力的に取り組み、その成果を博物館という形で結実させた田中芳男の功績は、近代日本を語る上で欠かせません。日本で初めて和リンゴに西洋リンゴを接ぎ木し、育て広めたのも田中芳男でした。「武」ではなく「知」によって、よりよい社会を作り上げようとした信州人でした。そして、彼の多彩で好奇心あふれる知の営みの核には、東西南北の文物が出会う飯田の文化的風土があります。
 また、彼には人間と動植物を隔てず、生命全体を大きく見つめ、育て、共存しようとする思想が存在しました。この考えは、「環境の世紀」と呼ばれる21世紀を生きる私たちにたくさんのヒントを与えてくれます。多様な生命を見つめ育てる「種子(たね)をまく人」、パイオニア(先駆者)としての田中芳男の姿を紹介します。

●主な展示資料
「教草 澱粉一覧」上・下 明治7(1874)年 飯田市美術博物館蔵 ※半期のみ展示
田中芳男「天賦之風彩固有之妙」 明治35(1902)年 飯田市美術博物館蔵
「古今珍物収覽 元昌平坂聖堂に於て」 明治5(1872)年 飯田市美術学物勘蔵
「有用植物図説」巻之一 明治24(1891)年 飯田市美術博物館蔵
町田久成書「博物館」門額 明治5(1872)年 東京国立博物館蔵
「外国桾拾帖」1 東京大学総合図書館蔵 ※半期のみ展示 
●講演会1「田中芳男をめぐって-伊那谷の人のつながり-」
 平成29年12月16日(土)13:30~15:00
 講師:笹本正治(当館館長)

●講演会2「近代日本の礎を築いた田中芳男」
 平成30年1月20日(土)13:30~15:00
 講師:櫻井弘人 氏(飯田市美術博物館学芸係長)

●関連講座「田中芳男 -『虫捕御用』の明治維新」
 平成30年2月10日(土)13:30~15:00
 講師:青木隆幸(当館学芸部長)

●イベント
 「神々の舞う里-南信濃の民俗芸能に触れよう-」
 平成30年2月4日(土)
 南信濃を代表する遠山郷の霜月祭り、新野の雪祭りの記録映像を上映します。